MIZUKAZE PROJECT STORY

瑞風プロジェクトストーリー

March 2024

vol.4

車内での時間を満喫していただくために。

 第4回目は、ダイヤ作成についてリポートします。
 JR西日本エリア内には、毎日数多くの列車が走行していますが、すべての運行はダイヤ(列車運行図表)に基づいています。2017年春に運行開始を予定しているTWILIGHT EXPRESS 瑞風のダイヤについても、すでに調整が始まっています。
 新幹線から普通列車まで、管内の列車をどう動かすかを決めるダイヤの作成は、鉄道マンにとっても憧れの業務。担当する専門家は、複雑なグラフ状の線(筋)を引くことから、尊敬の念を込めて「スジ屋」と呼ばれることも。その一人である、桑原隆(鉄道本部運輸部輸送計画課)はこう話します。「普段、私たちが心がけているのは、特急列車、通勤列車などの使命を持った列車をご利用状況に応じて設定して、時刻表等でご案内した時刻どおりにお客様を目的地にお運びすることです。これらに加え、「瑞風」のダイヤには、さらなる配慮が求められています。簡単な仕事ではありませんが、“スジ屋”として大変なやりがいを感じています」。

運輸部 輸送計画課 桑原 隆、瑞風推進事業部 柏井 裕美
  • 運輸部 輸送計画課 桑原 隆
  • 瑞風推進事業部 柏井 裕美
  • 左:運輸部 輸送計画課 桑原 隆
    右:瑞風推進事業部 柏井 裕美

 留意したのは、全行程における、発着時刻や発着番線、立ち寄り観光地の滞在時間、ほかの定期列車旅客への影響、朝夕のラッシュ時間帯における安全性など。多くの点についてさまざまな角度から検証を行い、調整を進めています。
 また、「瑞風」ならではの配慮も。「食事時間や就寝時間帯の運転です。どのような運転であれば、より料理を楽しんでいただけるか、より心地良くお休みいただけるかについても熟考を重ねています。「瑞風」は、車窓に流れる風景を鑑賞いただくことも大切にしている列車。景色の良い場所、見所のある場所を通る際は、なるべくスピードを落とすように調整しています。夕日の美しいポイントについても、季節によって変わる日の入り時刻を意識したダイヤを予定しています」(桑原)。
 「瑞風」の山陽・山陰コース(周遊)の総運転距離は、約1,500キロに及びます。「このようなダイヤを組む体験は、何度もできることではないでしょう。「瑞風」運行に関係する各エリアの5支社の協力を得てのダイヤ作成も、もちろん初めての経験です。お客様にとって“最高の移動”と感じていただけるよう、今後も他の部門と力を合わせて取り組んでいきたいと思います」(桑原)。
 ダイヤは、列車走行そのもののみならず、鉄道運営にかかわる全スタッフのための巨大な「業務指示書」とも言えます。各部門のオペレーション準備をスムーズに進めるという使命も、同時に帯びているのです。

各支社の担当者に聞いた、
ダイヤ作成時の配慮と見どころ

  • 近畿統括本部 輸送課
    青木 久

    ダイヤ作成にはさまざまな制約がありますが、旅が始まるワクワク感や雰囲気を大事にするため、出発駅の「のりば」や「停車時間」にもこだわっています。一方、終着駅は多くのお客様がご利用になる時間帯と重なるため、ホームの安全等を考慮しています。明石海峡大橋や保津峡の風景など、「瑞風」は西日本の魅力を見て、感じて、満足いただける列車。とても楽しみにしています。
    近畿統括本部 輸送課 青木 久
  • 福知山支社 輸送課
    西村 洋治

    当支社のエリア内は単線区間が多いため、立ち寄り観光地の滞在時分を確保しながら、定期列車のダイヤを組み上げる必要があります。山陰コース(下り)および山陽・山陰コース(周遊)では、地上約40メートルの余部橋梁から見える雄大な日本海の絶景にご注目ください。「瑞風」の運行を契機に、西日本エリアがさらに活性化することを願っています。
    福知山支社 輸送課 西村 洋治
  • 岡山支社 輸送課(現:運輸部輸送計画課)
    加藤 範之

    立ち寄り観光地の最寄り駅では、ゆとりをもって乗降していただけるよう、停車時分の確保に配慮しています。ご乗車いただいた際には、季節ごとに表情を変える、優美な瀬戸内海の景色にご注目ください。岡山も含め、西日本のさまざまな魅力を再発見していただける「瑞風」が、JR西日本を象徴する列車になることを期待しています。
    岡山支社 輸送課(現:運輸部輸送計画課) 加藤 範之
  • 広島支社 輸送課
    平田 博幸

    お食事の時間に停車させ、外からの視線が気になったりすることがないように気をつけています。特に夕食時は通勤時間帯でもあるため、細心の注意を払っています。瀬戸内海の多島美や日本海の白い砂浜、地球が丸いと実感できる水平線をご堪能いただきたいと思います。「瑞風」がJR西日本のフラッグシップトレインになることを熱望しています。
    広島支社 輸送課 平田 博幸
  • 米子支社 輸送課(現:運輸部運転士課)
    多喜 孝一郎

    山陰の四季折々の魅力をお楽しみいただくため、いくつかのパターンのダイヤを設定し、試行錯誤しながら検討しています。宍道湖の夕日、日本海の景色、山陰の豊かな自然…見どころはいくつもあります。「瑞風」が当社の新たなフラッグシップトレインとして、末永く多くの方に愛される列車に成長することを心から願っています。
    米子支社 輸送課(現:運輸部運転士課) 多喜 孝一郎

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