MIZUKAZE PROJECT STORY

瑞風プロジェクトストーリー

September 2018

vol.8

下関の文化や歴史に ふれる機会に。

下関の文化や歴史に ふれる機会に。

 第8回目は、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の一番列車発着式をはじめ、現在も歓迎や見送りなどさまざまな方面で尽力してくださっている、下関の取り組みについてレポートします。

下関の文化や歴史に ふれる機会に。

下関の文化や歴史に ふれる機会に。右から、阿部課長(現 山口駅長)、河田部長、
藤井係長、宇戸田主任

 維新発祥の地としても知られる海峡と歴史のまち・下関の中心に位置する下関駅は、「瑞風」の出発駅でもあり、到着駅でもあります。その利点を下関の魅力を発信する好機ととらえ、市町、企業、沿線地域やまちづくり協議会が一丸となって、「瑞風」運行開始前から歓迎の準備が進められました。その経緯や内容について、下関市観光政策課企画振興係長の藤井寛幸さんと主任の宇戸田和俊さん。JR西日本下関地域鉄道部部長の河田哲也さんと当時企画課長の阿部正範さんに話を聞かせていただきました。

期待がみなぎった「瑞風」運行

JR西日本下関地域鉄道部部長の河田哲也さんJR西日本下関地域鉄道部部長の河田哲也さん

 「2016年6月に着任して以降、TWILIGHT EXPRESS 瑞風の運行に向けて数々の議論を重ねてきましたが、運行開始日等が具体的になり始めたのが2016年の11月だったと思います。詳細は未発表でしたが、下関市には期待感がみなぎりました。発着地という光栄なキーワードもあり、商工会議所の会合をはじめとする様々な機会にお目にかかる市町の方たちに、『瑞風ってどんな列車なの?』と頻繁に聞かれようになりました。我々としても歓迎の準備をどう進めて行くか、地域一丸となっていろんな意見を伺おうと考えました」と河田さんは話します。

JR西日本下関地域鉄道部企画課長の阿部正範さん(現 山口駅長)JR西日本下関地域鉄道部企画課長の阿部正範さん
(現 山口駅長)

また、阿部さんによると「実は、大阪~札幌間を走っていたトワイライトエクスプレスが定期運行を終えた後、ツアー専用の特別列車としての運行が何度かあり、下関駅が発着駅になりました。その時の経験がベースにあったため、下関の魅力を発信するためには、沿線市町の協力が不可欠であることを早くから確認。意見交流会を立ち上げ、幾度も会合を持ちました」。

 観光振興の面からも「『瑞風』が走るということは本当にビッグニュース。名物であるフグ以外にも美味しいスイーツや海の幸が豊富にあることなどを発信していく好機。まさに朗報でした」と藤井さん。そのかたわらで、宇戸田さんは「運行の知らせを聞いた時、私は広報広聴課に在籍していましたので、さっそく記事を書いて市報に載せたのを覚えています。全国の方に足を運んでもらえるきっかけにしたいとの思いも込めました」と目を細めます。

下関市観光政策課企画振興係長の藤井寛幸さん下関市観光政策課企画振興係長の藤井寛幸さん
下関市観光政策課企画振興係 主任の宇戸田和俊さん下関市観光政策課企画振興係 主任の宇戸田和俊さん

予想をはるかに超える盛り上がり

 そんななか、ウエルカムボードを作ろうというアイディアが出ます。地域の方たちに、「瑞風」を心待ちにする気持ちを書いたボードを持っていただき、その姿を撮影。プリントして、モニターとカウントダウン表示を組み込んだディスプレイの側面に掲示する取り組みです。「当初の目標は200枚。少し大変かもとの思いがありましたが、実際はあっという間に300枚近くが集まりました」と河田部長は驚きを隠しません。「瑞風」を待つ地域の思いの強さを実感した出来事でした。そのボードは運行開始後も構内に掲示されました。

下関駅構内に設置された「瑞風」歓迎のウエルカムボード。下関駅構内に設置された「瑞風」歓迎のウエルカムボード。

 毎年11月に開催されている「下関海響マラソン」は12000人もが参加する大会であることから、「瑞風」をアピールするチャンスととらえて、横断幕を作成。数十人のJR社員が沿道に立ってランナーの健闘をたたえると共に、下関駅が「瑞風」の始発・終着駅に決まったことを報告。下関のまちを駆け抜ける参加者との交流にも一役買いました。

下関海響マラソンで「瑞風」をPR。下関海響マラソンで「瑞風」をPR。

一番列車の到着式と出発式を開催

 一番列車が到着する6月18日には、沿線の各駅で300人、400人単位の人々が手にした旗を振って大歓迎。ホームはもちろん、跨線橋にも満面の笑みを浮かべる人が鈴なりに連なる盛況ぶり。安岡駅では、鼓笛隊の演奏が披露、下関駅では、約1500人が「瑞風」を出迎えました。

一番列車を迎えるみなさん。一番列車を迎えるみなさん。
出発式の様子。さまざまなパフォーマンスが繰り広げられた。出発式の様子。
さまざまなパフォーマンスが繰り広げられた。

 翌日は出発式。下関に伝わる伝統行事で、三味線や太鼓に合わせてエネルギッシュに舞う「平家踊り」を披露。さらに、毎年開かれる「しものせき海峡まつり」のメイン行事である「先帝祭」のハイライト「上臈道中」も行われ、美しい姿と振鈴の音色で人々を魅了しました。当日を滞りなく迎えるため、タイムスケジュールを作って各方面と綿密に打ち合わせ。特に「平家踊り」と「上臈道中」の演者は、実際のホームでのリハーサルも前日に行いました。「いつもとは違うホームでのパフォーマンスですから、何かあっては一大事。安全面を最大限に配慮することに気を配りました」。河田さんと阿部さんは声を揃えます。

「瑞風」の乗客へのプレゼントのプリザーブドフラワーと「蛍籠」。「瑞風」の乗客へのプレゼントのプリザーブドフラワーと「蛍籠」。

 「瑞風」の乗客には、今年9月から開催される「山口ゆめ花博」を記すプリザーブドフラワー、ホタルの里として知られる下関市豊田町の伝統工芸品「蛍籠」のミニチュアをプレゼント。升酒などもふるまわれました。

運行開始から1周年を迎えて

 観光政策課では、地図を見ながら「瑞風」ルート上にある保育園や幼稚園を訪問。「列車好きのお子さんも多いので、ホームでのお見送りや園での旗振り行事があると話すと、みなさんぜひ参加したいと言ってくださって。子どもたちの記憶に残れば、私たちもうれしいです」と藤井さんは微笑みます。「そんな話を聞くと、案内のチラシや旗の作成にもより一層力が入ります」と、宇戸田さんは何度もうなずきました。

 一日駅長を募っているのもユニーク。下関市在住の新婚カップルやアニバーサリーイヤーを迎えられるご夫婦を募集。一日駅長として委嘱式を行い、タスキをかけて出発の合図を出していただきます。「恥ずかしがる方が多いかと予想しましたが、貴重な体験ですから、みなさんノリノリで参加して下さっています」と阿部課長。

1日駅長を務めた新婚のご夫婦1日駅長を務めた新婚のご夫婦

 現在までの参加者は16組(2018年5月7日現在)。中には、「瑞風」の一日駅長を結婚式でお父様からのサプライズプレゼントにしたいと、河田さんが家族に依頼されて披露宴に飛び入り参加。「制服姿を見て、いったい何事かと驚かれているご親戚やご友人の方々を前に、一日駅長について告白。具体的な内容をプレゼンしました。長く鉄道の仕事に携わっていますが、初の体験ですね」。二人は顔を見合わせて笑いました。

 運行から1年が経ち、「瑞風」をきっかけに、地域の人々とのつながりが一層深くなったと河田さんは話します。「顔見知りが倍増した感じ。いろんなところで声を掛けられることが多くなりました。特別な存在ですからね、『瑞風』は。我々としては誇りに感じつつ、自分たちも楽しい日々を送らせてもらっています」。
明治維新150年、ふく食解禁130年、関門トンネル開通60周年、おめでたい記念行事が目白押しの下関では、「瑞風」1周年を迎えて、さらに盛り上がりそうです。