四季折々の美しい風景、 沿線の歴史・文化を象徴する
工芸や文化財、地元の恵みを生かした美食...。
西日本を巡り、人との出会いを通じて、
「瑞風」の旅を輝かせる “美” を発見します。
松江
広島
心に響く音で、旅を彩る
~車内演奏家が語る~
TWILIGHT EXPRESS瑞風では、夕食前のウェイティングタイムや、
食後のバータイムをラウンジカーで過ごされるお客様のために、
ヴァイオリンやヴィオラの生演奏が行われています。
旅を彩る美しい音色に、お客様は耳を澄ませ、やがて笑顔に。
素敵な音を奏でる車内演奏家のみなさんに、
その音に込めた想いや「瑞風」の魅力をうかがいました。
地元演奏家による「おもてなし」
夜の帳(とばり)が下りて、車窓の風景が消える頃、「瑞風」のラウンジカーでは、音楽の演奏が始まります。演奏を担当するのは、山陰コース・山陽コースともに地元を中心に活躍する音楽家のみなさん。西日本各地の魅力をめぐる「瑞風」ならではのおもてなしです。
山陰コースの車内演奏統括を務めるのは、鳥取県北栄町ご出身のヴィオラ奏者である生原幸太さん。「瑞風」の上質な旅を、音楽でいかに演出するかに心を砕いて選曲や構成を行っているそうです。「さまざまなお客様が乗り合わせますので、クラシックをベースに、映画音楽や洋楽、ジャズなども織り込み、その日その時のお客様の様子を見て曲を変えることも。大切なのは、リラックスして演奏を楽しんでいただくことだと考えています」。
- 01,02ヴィオラ奏者 生原 幸太さん
山陰コースでは、松江駅で「瑞風」の到着を待ち受けて乗り込み、夜のひとときをお客様と過ごします。そうするうちに、地元を代表してお迎えするような気持ちになるのだそう。時には山陰ゆかりということで『ゲゲゲの鬼太郎』や奥出雲が舞台とされる『もののけ姫』のテーマを演奏することも。「地元にちなんだ演出はとても喜んでくださいますね」と話す生原さんの表情はとても楽しそうです。
同じく山陰コースのヴァイオリンを担当する福田悠子さんは、立ち寄り観光地の一つである島根県出雲市出身。ご自身で見つけたという「瑞風」をイメージさせる深いグリーンのドレスで演奏に臨んでいます。「瑞風」で演奏をするようになってから、福田さん自身も地元山陰の魅力を再発見したと言います。「日本海の荒波や山陰独特の雲が低く垂れ込めた空、田植え直後の水を張った田んぼ…。当たり前だと思っていた風景が、お客様にとっては魅力的に感じられるのだと知って、嬉しいと同時に誇らしい気持ちになりました」。
- 03,04ヴァイオリン奏者 福田 悠子さん
「瑞風」の演奏で、思いを新たに
ふだんとはまったく異なる、お客様を目の前にした空間での演奏を重ねる中で、福田さんにはある変化が訪れたそうです。「これまでは『私の演奏を聴いてほしい』という思いが強かったんです。でも、『瑞風』で演奏するようになってから、すぐ目の前にいらっしゃるお客様にとって一番心地いい音色や音量を意識するようなりました。聴いてくださる方のことを一番に想う。ヴァイオリニストとしていい経験になっています」。
生原さんもまた、「瑞風」での演奏を通じて、思いを新たにしたと言います。「先日、立ち寄り観光地の方々と交流する機会があり、各地の方々が『瑞風』に大きな期待を寄せ、そして応援されていることを実感しました。そうしたみなさんの思いも携えて演奏したいと思っています」。音楽を通して地元の人たちの思いに触れる。車内でお楽しみ頂けるこうした交流もまた、「瑞風」の旅に彩りを添えてくれることでしょう。
- 05「瑞風」で演奏する生原さんと福田さん
大胆なアレンジを楽しんで
一方、山陽コースの演奏を担当するのは広島交響楽団のヴァイオリニストである長谷川夕子さん。演奏を聞いたある著名な舞台演出家の方が、「曲の選定がすばらしい!」と絶賛。 その秘密は大胆なアレンジにあるようです。
「少しずつ慣れてきたので、さまざまなアレンジに挑戦しています。例えば、葉加瀬太郎さんが作曲したテーマ曲のオリジナルの楽譜は、15〜16の楽器によって構成されています。これをヴァイオリン2本で演奏するために、デュオのよさが生きるようにリズムを強調したアレンジをしています」。その他、ヴァイオリンとヴィオラや、ヴァイオリンとフルートの組み合わせも用意し、それぞれの音色を楽しめるように心がけているそうです。
「お客様からは『ずいぶん個性的な編曲ね』と言われたこともあります」と笑う長谷川さん。こうした工夫の背景には、ある思いが込められています。「これほど近い距離で、生の演奏をお聴かせすることはほとんどありません。だからこそ、この機会にクラシックや楽器に親しんでほしいんです」。時には「ちょっと音を出してみませんか?」とヴァイオリンの演奏を体験してもらうことも。お客様にとっても、忘れられない旅の思い出になることでしょう。
- 06,07ヴァイオリン奏者 長谷川 夕子さん
心に残る一曲を届けたい
目の前で演奏が行われるとあって、お客様から「リクエスト」があることも。「本当にいろいろなリクエストをいただきますよ。若いお客様が男性アイドルグループの曲をリクエストされることもありました。タンゴも多いですし、女性にはシャンソンが人気のようです。スイートルームにうかがって演奏をする際、ご年配の女性とうかがっていたので『川の流れのように』を演奏したところ、涙を流して喜んでいただいたこともあります」。
- 08ヴァイオリンを弾く長谷川 夕子さん
「瑞風」で演奏するようになってから、「伝えたい」という思いが強くなったという長谷川さん。「歌なら歌詞によってダイレクトに表現することが可能ですが、演奏家は言葉の代わりに音で心に響く表現をしなければなりません。だからこそ、さまざまな経験を積んで豊かな表現力を身につけなければならないと考えています」。
お客様との一期一会の時間を共有したいと願う演奏家たちの想いが、「瑞風」で過ごす時間を美しく彩ってくれるのです。